
骨董屋が教える遺品整理の進め方|初心者でも失敗しない5つの手順
実家の片付けや親族の遺品整理をしようと思っても、何から手をつければいいか分からず、手が止まってしまう…そんな方は少なくありません。
私は骨董屋として数多くの遺品整理の現場を経験し、「もっと早く知っていれば…」という声をたくさん聞いてきました。この記事では、初めて遺品整理に取り組む方が安心して進められるよう、骨董査定のプロ視点で具体的な手順を解説します。
遺品整理とは?初心者が知っておきたい基本ポイント
遺品整理は単なる片付けではなく、故人の想いを尊重しながら、残すものと手放すものを選別する大切な作業です。特に骨董品など、価値がある可能性のある品物を見逃さずに扱うことで、整理後の後悔を防ぐことができます。
初心者でも失敗しない5つの手順
① 整理の範囲を小さく決める
最初から家全体に手をつけようとすると、途中で挫折しがちです。まずは押し入れや一部屋など、狭い範囲から始めましょう。物が少ない場所を選ぶことで、心理的な負担が軽くなり、作業のコツもつかみやすくなります。
② 分かりやすい仕分け基準を作る
「残す」「処分」「売却・譲渡」「保留」の4つに分類すると効率的です。判断に迷うものは「保留」ボックスを用意し、時間を置いて再確認しましょう。段ボールに色付きラベルやマスキングテープを使って分類を明示すると、作業がスムーズになります。
③ 骨董品や貴重品の確認を忘れずに
古い食器や掛け軸、和家具、時計など、価値がつく可能性がある品は慎重に扱いましょう。チェックすべきポイントは以下の通りです:
- 作者名(サインや落款)
- 制作年代や特徴
- 状態(欠け・ヒビ・汚れなど)
メモや写真で記録を残しておくと、後の査定がスムーズです。
【実際の事例①】新しい仏像より古い木彫りの仏像に価値が
見た目は新しい金色の仏像が高そうに見えても、実際は古い木彫りの仏像の方に数十万円の価値がついたこともあります。
【実際の事例②】共箱が価値を証明することも
サインのない民藝の器でも、共箱があったことで数万円の査定がついた例があります。箱は作品の一部と考え、絶対に捨てないようにしましょう。
少しでも「これは?」と感じたら、自己判断で処分せず、まずは保管し専門家に相談するのが安心です。
④ 不要品の処分方法を検討・決定する
「処分」と決めた品物も、方法はさまざまです。自治体の粗大ごみ、リサイクルショップ、フリマアプリ、不用品回収業者など、それぞれの特徴を理解して使い分けましょう。特に大型家具や大量の不用品が出た場合は、専門業者に依頼するのが効率的です。
⑤ プロの力も無理なく活用する
整理が困難な場合や、実家が遠方で対応できない場合は、遺品整理の専門業者の力を借りるのが賢明です。見積もりは必ず複数社から取り、サービス内容・料金・評判などを比較しましょう。口コミや実体験を参考にしながら、信頼できる業者を選ぶことが重要です。
骨董屋の視点から:見逃しがちな価値あるモノとは?
以下のような品は、遺品整理の現場で高額査定がつきやすい傾向があります:
- 古伊万里や九谷焼などの伝統陶磁器
- 表具付きの掛け軸、古書、巻物
- アンティーク時計(ゼンマイ式など)
- 明治〜昭和初期の文机、鏡台、和家具
- 古いおもちゃ、古銭、切手コレクション
特に「共箱(ともばこ)」や鑑定書などの付属品がある場合は、査定に大きな影響を与えるため、セットで保管しましょう。
また、ホコリがかぶっていても無理に掃除せず、そのままの状態で査定に出すのがベストです。誤った手入れが価値を損なうこともあるため注意しましょう。
整理をスムーズに進めるための工夫
- 分類の明確化: 色分けラベルやマスキングテープで箱を視覚的に区別する
- 写真で記録: 仕分け前や仕分け後の状態をスマホで撮影して記録に残す
- 一時保留ボックスの活用: 判断が難しい物は後から見直す用に一時保管
まとめ|一人で抱え込まず、専門家の力を借りることも大切
遺品整理は体力的にも精神的にも負担の大きい作業です。一人で無理をせず、家族と協力しながら、必要<p>遺品整理は体力的にも精神的にも負担の大きい作業です。一人で無理をせず、家族と協力しながら、必要に応じて専門家の知恵を借りて進めていくことが大切です。
そして、故人が大切にしていたかもしれない品物や、価値ある可能性のある骨董品は、捨てる前に一度立ち止まって判断を。そうすることで、「あのとき捨てなければよかった…」という後悔を防ぐことができます。